イサム・ノグチが初めてモエレ沼に立ったのは1988年3月。そこに広がるのは、不燃ゴミが風に舞う殺伐とした風景でした。にもかかわらず彼は、喜々として雪の中を歩き回り「ここにはフォルムが必要です。これは僕がやるべき仕事です」と強い意欲を示しました。彼にとっての「やるべき仕事」とは何でしょう。それは都市の負の遺産であるゴミの埋立て地を再生し、美に転換させること。環境を人の暮らしをより豊かにすること。
「芸術がより良き生活のために役立つ」ことを、イサム・ノグチはモエレ沼公園において見事に実証してみせました。