189haの壮大なランドスケープ、モエレ沼公園。
ここはかつて「ゴミの埋立て地」でした。
いまから20年前、著名な芸術家が消え残る雪の中に降り立ちます。
彼が目にしたものは、原始の記憶をとどめた水辺の風景。
頭上にひらけた広大な空。そして人間によって汚された大地。
彼はこの土地をひと目見て「好奇心に駆られた、心を奪われてしまった」といいます。
その人の名はイサム・ノグチ。
常にフロンティアを求めて世界を巡った彼は、
ここに、心の原風景を見出したのかもしれません。
出会いのときから9ヵ月後、マスタープランを完成させてノグチは世を去ります。
「表情を失った広大な大地」に構想した生涯最大のプロジェクト、「全体を彫刻と見なした、宇宙の庭になるような公園」は、遺志を引き継いだ人々の17年にも及ぶ協働作業によって、2005年7月、ついにグランドオープンを迎えました。
いまモエレ沼公園には、年間80万人を超える市民や観光客が訪れています。
誰もが、このスケールに圧倒され、大地に刻まれたメッセージを読みとり、自分もまた風景の一部になって、思い思いの時間を過ごしています。
では、10年後、20年後、30年後、この公園はどんな姿になっているでしょうか。
公園が本式になるのは30年かかると初めてわかった。
人間はある程度までしか出来ないことがわかった。
完成するのは人間ではない。自然が自分でやるのです。
イサム・ノグチ
公園の未来。それは、ここに集うすべての人の手に委ねられています。
イサム・ノグチが私たちに残していった宿題です。
「モエレ沼公園の活用を考える会(モエレ・ファン・クラブ)」