こんにちは。
事務局のお手伝いをさせていただいている、学生会員の永谷です。
前回予告しておりました、「連載・素人だって楽しかった!イサム・ノグチ庭園美術館開館10周年記念シンポジウムエピソード集」
第一回をお届けしたいと思います。
第一回「草月会館ってなんだ?」の巻!わー、ぱちぱち。
(常識かもしれませんが…そこは笑顔で流してください…)
お恥ずかしいことに、私はこのシンポジウムに行くまで、草月会館というものを知りませんでした。
「くさつき」と読んでしまうくらい知りませんでした。
勉強不足を痛感…
なので、まず第一歩はここから始めたいと思います。
草月会館は、いけばなの流派草月流の会館です。草月流のホームページには、以下のように草月のいけばなが紹介されています。
「初代家元・勅使河原蒼風が形式主体のいけばなに疑問を持ち、「個性」を尊重した自由な 表現を求めたことから草月のいけばなは始まりました。
草月のいけばなは「型」にとらわれることなく、常に新しく、自由にその人の個性を映し出します。いけ手の自由な思いを花に託して、自分らしく、のびやかに 花をいけていきます。また、時代と共に変化してきた草月のいけばなは、それぞれのご家庭で楽しむことはもちろん、ウインドーディスプレーや舞台美術など、 社会のあらゆる空間に植物表現の美と安らぎをもたらしています。」
このような性格を持つ草月流の会館の、玄関前空間デザインを依頼されたのがイサム・ノグチだったそうです。従来の形式にとらわれない、自由な表現を求めたという点で、草月流とイサム・ノグチの共通点が垣間見えます。
草月会館の設計を手掛けたのは丹下健三事務所でしたが、すでに工事が進んでいた丹下事務所の設計にイサム・ノグチが手を入れ、「内装だけでなく、ロビーの天窓や階段の位置も変更することに、丹下は一言の苦情もはさまなかった(『イサム・ノグチ―宿命の越境者―』ドウス昌代著より抜粋)」といいます。
こうしてできあがった石庭<天国(または<花と石と水>)>は「自然石と幾何学模様の石とのアンサンブルがいかなる角度から見ても絶妙のうえ、上段から湧き出る水の流れと静かに融け合い、とてもおおらかな空間を作り上げている(「朝日新聞」、1993.02.19)(『イサム・ノグチ―宿命の越境者―』ドウス昌代著より抜粋)」と評されています。
そんなすばらしいところとはつゆ知らず、「イサム・ノグチが手がけたいけばなの会館」という知識だけを携えて行ったのですが…一言で感想を言うと、
なんだこの空間は!!
です。大学では一応建築の学生なので、空間に対する意識は、すこしばかり持ち合わせているつもりなのですが、私の数少ない空間体験ランキングの上位に躍り出てきた感じです。
まず、建物正面にそびえたつ「草月流の床柱」と呼ばれるモニュメント。さらにそこからガラス越しに見える石の表情がタダものでない雰囲気を醸し出し、「えっ、中どうなってるんだろう」と思わせます(実際、思いました)。
玄関をはいると、ぶわっと広がる吹き抜け空間と、そこにひょろりと立つ木のオブジェ。
視線をあげると、幾層にもなった壇上に点々と置かれる”あかり”たち。階段をのぼり、歩みを進めるにつれて振れる視界に映るのは、同じもののはずなのに、見方を変えると違って見える不思議な光景。
すこし座って落ち着ける場所もところどころにあり、
最上段には水の湧き出る不思議な彫刻…
この水、何だったんだろう…そんなときは、調べる!
「最上段に置かれた「つくばい」から静かに湧き出る水は、下の各テラスをくぐりぬけ、小川となって最下段へいたる(『イサム・ノグチ―宿命の越境者―』ドウス昌代著より抜粋)」
なるほど…!そういえば、水、下まで流れてた!!(気づくの遅い)
シンポジウムが終わった夜には、また違った表情を見せる石庭が、とても幻想的で、印象に残っています。
さて、次回から、やっとシンポジウムの本題に入ります。
…というか、第一回がこんなに長くなる予定ではなかったんですけれど…おかしいな…
とりあえず、乞うご期待!(本当に乞う…!)
【はみだしコラム】
本を読みながら、心に響いたイサム・ノグチの名言を紹介するコーナー。(覚書ともいう…)
ときどき「あっ」と思ったら書きます。
今回は、石について語るイサム・ノグチのことばたち。(『イサム・ノグチ―宿命の越境者―』ドウス昌代著より抜粋)
「石を叩いてみれば、われわれ自身のなかに、存在のこだまが返ってくる。それは、宇宙全体に反響する。」
「石は、人間が存在する以前から生命をもっていた」
「石こそ地球の骨だ」
このことばたちを読んだとき、びっくりして胸のあたりがぐるぐるしました(もっとスマートな表現はないものか…)
宇宙に存在を響かせる、地球の骨…石を、そんな風に思ったことなんて一度もありませんでした。
断崖絶壁の印象が、ちょっと変わりそうです(ほかにも変わるとこ、あるだろうに…)
ではっ!
(学生会員:永谷 早都実)